6月2日、公明党栃木県議会会派の視察調査2日目は、山口県教育庁社会教育・文化財課の松本課長、観光振興課の正司課長、農林総合技術センターの弘中部長、及び山口市の定住支援室の山見室長、杉本主幹より、それぞれの取り組みについて、以下の通り調査。
[山口県]
1.やまぐち産業戦略の推進
①世界遺産登録
萩市と共に「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録を支援。
今回の登録推進はシリアルノミネーションと言って、広い範囲に分散する複数の資産を同じ歴史・文化群のまとまりとして関連付け推薦するもの。
山口県萩市の萩反射炉をはじめ5つの産業革命遺産の他、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、静岡県、岩手県の7県と共同で登録推進。
平成27年7月の世界遺産登録決定を目指している。
明治日本の産業革命遺産の特徴は、幕末に西洋から製鉄や造船の技術を導入する際、どのような経緯を辿ったか、日本の風土や文化、風習にどのように溶け込んだか等が見られる点。
②観光振興〜宿泊客500万人を目指して
県内の観光客呼び込みは、大河ドラマ「花燃ゆ」等の好影響で堅調に推移。しかし、今の内にポストイベントを仕込む必要がある。
山口県の観光行政の課題は、宿泊客である。
目標:昨年実績438万人→500万人
現状:①県の魅力発信力が弱い
②宿泊・滞在を促す観光資源やルート形成が不十分
③交通アクセスが弱い
取組:観光資源のブラッシュアップや、おもてなしの充実を図り、観光客の満足度を上げる。
国内(東京・大阪)、海外に向けた、知事のトップセールス強化。
観光振興条例の制定で、官民一体の取り組みを醸成。
二次交通アクセスの充実。
更に、広域観光連合として、薩長土肥の4県を周遊する企画は、興味深い。周囲を海に囲われた4県の地の利を活かし、クルーズ旅行の企画もできる。
2.ICTを活用した酒米栽培システムの取り組みについて
日本酒の輸出が好調で、年々輸出量が増大。しかし、輸出する日本酒のは高級酒となるため、酒米の品質と生産性が鍵となっていた。
その為、酒米の生育状況を正確に把握し、栽培に活かす事が求められてきた。
そこで、より良い酒米づくりの為、ICTを活用した酒米栽培システムを開発。ICTにより、生育状況の見える化に成功。また、デンプン特性と酒造適性の相関関係を突き止めた。
更に、圃場の土壌分析データから土壌に合わせた栽培を展開、圃場にセンサーを設置し気温・水温、さらには炭水化物含有量まで計測。
酒米生産管理を徹底することで、10a当たり6俵の生産を7俵に効率アップ。
ICTの農業生産管理は、全国展開でき、集落営農法人の収益向上や、農商工連携による地域活性化にもその効果が期待できる。
[山口市]
3.定住支援の取り組みについて
地方創生の先駆的事例として、山口市の定住支援がある。
方針:
まち〜広域県央 中核都市づくり
ひと〜新規学卒者の就職サポート
しごと〜企業誘致、起業支援、観光・農林漁業の振興
これらを通し、特に中山間地域2地区の定住支援を実施。
取組:
①空き家バンクの設立
空き家バンクの登録実績は100件で、利用登録者は557件。空き家バンクの成約は55世帯128名で、現在の空き家在庫は26件。
②定住サポーター設置
全国的に移住促進の取り組みは行われているが、定住については難しい。要因は、地域によって課題がバラバラだからだ。
そこで山口市は、定住サポーターを地域の有志に任せ、市がサポーターを支援している。
サポーターは、一地域に15〜20名。移住希望者を空き家に案内したり、地域情報を教えるのが仕事。
③定住コンシェルジュの設置
定住コンシェルジュは、2地域で2名。
コンシェルジュの役割は、定住サポーターの相談、移住者とのコミュニケーション、移住・定住ノウハウの伝承。定住サポーターや移住者との意見交換や、定住促進フェアの開催、移住者同士の交流促進など。
この取り組みが、空き家バンクの実績に反映している。
④山口市お試し暮らしツアー事業
8月の夏休みの期間に、子育て世代を対象に3家族の規模で実施。
学校、住居、仕事などの生活に不可欠な情報提供や、山口市の魅力・強みなどを知ってもらう。
以上の調査を通し、各担当者の熱意を強く実感しました。
ご協力頂きました皆様に、感謝申し上げます。