6月3日、医療保険者による疾病予防等について、呉市の取り組みを調査。
かつて海軍のまちとして栄えた呉市は、最盛期人口40万人から現在は23万人。高齢化率は全国1位で32%、国保加入者の高齢化率は47%。
正に、呉市の課題は、高齢化に伴う医療費増大を如何に抑えるかであった。
1.呉市の医療環境
市民一人当たり医療費は、425千円。
10万人当たり医療施設は、176施設。
この内、400床以上の病院は3ヶ所、中規模クラスの病院も充実していて、呉市内で医療が完結できる。
2.保険事業
歳入は277億円、歳出が267億円と、事業は黒字。
保険事業では、健康寿命の延伸と国保の健全運営が鍵。
3.健康管理増進システム
データベース化した「レセプト」を基にデータを解析し、医療全般の課題を抽出。これらのデータは、①ジェネリック使用促進 ②保険事業の推進 ③レセプトの縦覧点検 に活かされている。
このシステムにより、保険料の負担軽減や健康増進、医療費の節減に貢献している。
4.健康管理増進システムの費用対効果
①ジェネリック使用促進通知による効果
通知は、2ヶ月に一度3000人に通知。ジェネリック医薬品に切り替える事で削減された保険料は、1億4620万円。通知費の110万円を引いても、1億4510万円の効果。
②レセプト点検
レセプトを紙情報からデジタル化した事で、膨大なレセプトデータをチェック出来る。
レセプトデータは、毎月8万件以上(年間100万件)と膨大。データのデジタル化により、怪しいデータのみを抽出するため、月1万件強のレセプトデータをチェックすれば良く、レセプト内容の向上が図られた。
③重複診療者・頻回受診者リスト、重複服薬歴表者への訪問
レセプトデータ分析により、重複診療・頻回受診・重複服薬の実態が見える化。それらのリストに対し、訪問を通して指導。約2000万円の削減効果を上げた。
④生活習慣病放置者フォロー
本来通院すべき人が、生活習慣病を放置することで腎疾患や透析など重篤化する事がある。
レセプト情報は、これらの発見にも役立つ。
その他、行政が地域の病院・医師との連携し、きめ細かな医療サービスを提供している。