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2016年9月6日  公明会派県外調査②

公明会派県外調査2日目、静岡県庁を訪問し商工振興課から説明聴取。

説明者:静岡県経済産業部商工業局商工振興課 三須課長、池谷班長

ふじのくにCNF(セルロース  ナノ  ファイバー)プロジェクトの推進

1.CNFの動向について
CNFは、木材及び全ての植物細胞壁の骨格成分で、繊維をナノサイズ(100万分の1)まで細かくほぐす事でバイオマス由来の新素材となる。
・CNFは、北欧・北米・日本の森林大国で研究が進んでおり、最近では中国もCNFの特許申請等を進めるなど研究を進めている。
・木質繊維をナノレベルまでにするには、かなりのエネルギーが必要で素材生産コストが高いのが現状。
・近年、東京大学の磯貝教授の研究で、低エネルギーでCNFを作ることに成功〜今後の普及に期待。

2.CNFの国の動向について
日本再興戦略の中の「林業の成長産業化」〜マテリアルの利用促進に位置づけられる。
CNFは今までに無く、経産省、農水省、林野庁、環境省が横断的に体制を組んで取り組んでいる。
・経産省は、オールジャパン体制でのコンソーシアムを推進し、素材生産課が「CNFフォーラム」を設立。
・CNFフォーラムは、CNFの全国普及と新素材・新産業の開発を目的にしている。
・ISO認証の推進〜CNFの標準化について国レベルで進めている。CNFの用途や安全性など、国が主導し地方の取組と連携している。

3.CNFの特性について
①重量は鉄の5分の1
②強度は鉄の5倍
③ガスバリア性が高い
④熱膨張性が低い
⑤環境性

4.CNFの全国的な動きについて
川上のCNFの素材生産は、大企業主導で数ヶ所のプラントが稼働。
CNFの可能性は高いが、具体的にどのような製品に活かせるか?どの分野の産業に貢献できるか?は、これからの研究開発にかかっていると言える。
したがって、静岡県庁をはじめ愛媛県などCNFに熱心な県が増える事が大事。

5.静岡県がCNF産業を進める背景について
①県内の森林資源〜49.8万ha(全国13位)
②製紙工場が集積する立地
→これらの事から、CNFに積極的に取組み「ふじのくにCNFフォーラム」を15年6月22日に設立。
⚫️ふじのくにCNFフォーラムの推進体制
知事を会長に、大学・学術関係者を顧問に、県内外の企業・大学・国・産業支援機関と連携する体制を整備。

6.平成27年度の実績について
・セミナー2回開催
・技術講演〜CNFの研究・用途開発等の講演  3回
・実習に10企業参加
・企業マッチング〜CNFサンプル企業展示会
・研究開発

7.平成28年度の計画について
・情報発信、実習機会の提供
・技術支援体制の強化
〜富士工業技術支援センターと工業技術研究所にCNFコーディネーターを配置
〜大学との連携強化・磯貝研究室への職員派遣
〜産総研と県内企業の橋渡し・・・産総研イノベーション コーディネーター
・研究開発〜物性調査
〜インクジェット紙への応用
〜塗料・接着剤への応用

8.その他 CNFについて
①CNFの製造単価
現在、kg当たり5000円と高額。研究の成果を生かし、1000円程度に。製品としての採算では、500円程度までコストダウンが課題。
現在、カーボンファイバーは3000円/kg。これと比較すると、CNFの実用化及び汎用性は高いと言える。

②川上から川下のCNF
川上:CNF製造・・・静岡県内には無く、大企業が数ヶ所国内で生産
例えば、大王製紙が四国でプラント完成。
川下:CNFを使った製品等の開発・・・ここに力を入れている!
※CNFの製造は大企業主導だが、大企業が求めている「需要」を地方がづくり出すことで、地方創生に結びつけられる。全国的に取組むことで、用途を拡大しニーズを提供する事でチャンスは広がる!
※CNFは、世界規模の競争。オールジャパンで、産業界・行政・大学等学術機関・金融等の協働の成果を世界に示す一大産業にしたいものだ。

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