公明会派県外調査3日目、神奈川県庁と長田病院を訪問。
神奈川県庁
1.県公共施設の見える化について
説明者:総務局 財産経営部 施設整備課
村島課長、佐藤さん
①公共施設の管理
これまで公共施設は、古くなり使えなくなったら壊して建て替える、スクラップ&ビルドを繰り返してきた。
しかし、これからは、公共インフラを含む膨大な公共施設が一斉に老朽化を迎える事から、スクラップ&ビルドから「ストック」へ移行している。
つまり、公共施設を長寿命化させ、公共施設にかかるコストを抑えようと言う考え方。
②県有施設長寿命化指針
・計画修繕〜59の施設を5グループに分け、劣化や耐震診断の結果を基に修繕計画(優先順位)。5年毎に修繕予算を取り、雨漏り・耐震等の対策を講じる。
・LCCの削減〜ファシリティマネジメントの推進。
③公共施設の見える化
平成25年、公共建物をはじめ、道路、橋梁、港湾等全ての公共施設を診断し数値化。この結果を県民に公表、全国初の取組となった。〜築後30年超が過半数!
・公共施設総合マネジメント計画は、今年度中に整備完了予定。
・見せ方〜箱物などのハード及び、道路・河川・港湾等の維持修繕費を、部局毎に算定し、全体をまとめる形で公表。
④維持修繕コスト算定に関わる与件
屋根・外壁・天井・内装・電気・水回り設備など各部位ごとに、耐用年数を決めコスト単価を策定し平米数を掛けて割り出す。
⑤維持修繕コストの現状と推計
平成24年
・箱物1292施設:120億円(30%)
・都市基盤施設 :294億円(70%)
将来推計〜平成45年がピーク!
・箱物→1兆2390億円
・基盤→1兆 385億円
※公共施設のマネジメントのポイントは、躯体(ハード面)の長寿命化と強度アップと、設備のユニット化による更新のし易さ確保。
⑥県有地・県有施設の財産経営戦略の取組
・総量の削減〜建物性能・立地性能をベースに削減
・LCCの削減〜修繕・建設・維持管理経費の削減
・価値の向上〜公共施設の総量が減っても、県民への行政サービスは上げなければならない。バリューアップと言う考え方。
ex)トイレ
洋式、暖房・洗浄、車椅子対応、多目的等、県民や観光客に配慮したトイレの創造〜県民や職員にアンケートを取り、リニューアルし大好評!
ex)舗装
駐車場など、カラー舗装で区分を明確にし、障がい者や妊婦に配慮を強化。
2.ヘルスケアICTの推進について
説明者:政策局 ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室 未病産業・ヘルスケアICT課
兄内課長
①ヘルスケア・ニューフロンティアの推進
1970年、ピラミッド型だった県内人口は、2050年には逆ピラミッド型になり若者が高齢者を支えられなくなる。また、医療費ももたなくなる。
そこで、ヘルスケア・ニューフロンティアを推進し、超高齢社会を乗り切ろうと取組んでいる。
キーワードは、「未病」。
②未病とは
一般に、健康/病気・・・「病気でないのは健康、健康でなければ病気」と考えがち(西洋医学的)。
未病と言う考え方は、健康か病気かの極端な区分けでなく、「健康」と「病気」の間に「未病」と言う状態があると認識(東洋医学的)し、新たなヘルスケア産業を創出する。
・未病改善〜目的:健康長寿日本一、手段:新産業・新市場の創出、結果:地方経済の活性化
③健康寿命とは
健康寿命とは、日常生活が制限される事なく営めること。
現在、平均寿命と健康寿命の差が10年以上、つまりこの差の期間は「介護や看護・入院」の期間。
健康寿命を伸ばし、生涯を通して自分の事は何でも出来、積極的な社会参加を実現。これが、追求する理想。
④未病コンセプトに基づく取組
・未病産業の創出〜ヘルス産業と分けている
〜身体の状態を良くしていく〜維持管理、モニタリング、クラウド化、科学
・未病エビデンスの確立〜未病の根拠を確立する為の取組
〜今の生活パターンを続けると、将来はこうなりますよ。と言った警告!
・未病の概念の普及〜未病についての教育・啓発活動
⑤未病産業
・TOTO〜トイレ・・・健康情報を収集、ビッグデータを病院に発信
・MIMOSYS・・・電話の声から、健康状態を診断
・味の素〜アミノインデックス・・・少量の採血で癌リスクを判定
※現在、未病産業研究所には、医療関連企業だけでなく旅行、広告代理店など多彩な企業397社が会員になり、セミナーやビジネスマッチング、モデル事業などを実施している。
⑥未病産業のブランド化
ME-BYOブランドの構築〜国際商標登録済み〜未病を世界に発信!
ロボットスーツHAL、MYCODE、脳梗塞リスク評価サービスなど
・ICTとME-BYOハウスラボ
〜ウェアラブル端末・Iot・ロボットを連動させ生活者の健康情報を集約・分析。
・シンガポールの公共住宅プロジェクトに、付加価値として「ME-BYO」を提案。
・マイME-BYOカルテをスマホで!
〜電子母子手帳をME-BYOカルテに連動させ、生まれてから生涯に渡り健康データを蓄積。ME-BYOカルテは、災害時や緊急時に活用。
⑦今後の方向性
・市町村や企業との連携強化で、ME-BYOカルテを普及。
・マイME-BYOカルテのデータ活用
〜災害時の行政対応、企業の健康経営の取組支援
・マイME-BYOカルテの普及目標
〜平成28年 1万人→29年 5万人→32年 100万人の登録へ!
・小中高の教育の中で、未病教育を浸透させる。
・税制や健康保険料に、未病への取組を反映させる。
・未病を通し、健康長寿と経済の活性化、100歳・社会参画計画を実現。
3.地域課題解決や活性化に取組む県民の学びの場づくりについて
説明者:かながわ県民活動サポートセンター ボランタリー活動サポート課
田中課長、菅尾主査
①かながわコミュニティカレッジの取組
コミュニティカレッジの目的は、地域課題解決の人材育成と地域活性化を推進する人材育成。
「地域社会に役立ちたい」「何か活動がしたい」と言う人の為に、学びの場を提供し地域活動に活かす実践教育を行う。
当初は、公設民営で行なって来たが、平成27年度から民営化した。
現在は、県が委託したNPOが主体で講座を開いている。
コミュニティカレッジは、かながわコミュニティカレッジ運営委員会が推進。委員には、有識者も加わりカリキュラムや運営全般を検討。
②県が育成すべき人材
中核人材とは、NPOや地域、自治会等を支援する人材、コーディネートできる人材のこと。
具体的には、地域で活動できる人材、地域支援をコーディネートできる人材、地域支援の担い手を育成できる人材、ボランティアやNPO等を立ち上げ活性化できる人材の育成。
③講座一覧
・一般講座〜18本
・連携講座〜17本
・特別講座〜1本 合計36講座
④委託業者
委託契約は、延べ受講数4800人をベースに、4800人×750円×講座コマ数で委託料を算定。
業者は、受講生を増やせば、運営費が増加し運営が楽になる仕組〜インセンティブが効いたシステムだ
⑤コミュニティカレッジの目的
地域には、福祉、教育、災害、環境など様々な課題がある。
コミュニティカレッジは、行政の都合の良いボランティア人材を育成するのではなく、あくまでも地域の人達が助かる取組を重視。地域発の人材育成を進めている。
受講生が受講後に地域活動に付くのは、約70%で30%は未活動。行政は、地域活動を強制出来ないので、受講生を増やす事で地域活動できる人材を増加させようと取組んでいる。
⑥今後の取組
県と市町村の関係は、計画策定後に対応するので、役割分担や連携が弱いところがある。
地域の為に貢献できる人材育成と言う観点で、県も市町村も団結して協力体制を取って進めたい。
長田病院
説明者:
4.各種介護ロボット・アシストの活用実証について
①治療の現場を視察
・CYBERDYNE社の「HAL」〜下半身麻痺のリハビリ、歩行支援
右半身に麻痺がある患者さんのリハビリ
HALは、患者の筋肉の動く際の電気信号をキャッチし、動作を補助するマシーン。
HALが感知するデータは、PCに表示されリハビリに活用する。同時に、そのデータはつくばみらい市のCYBERDYNE社に転送され、HALの進化に使われる。
②器具装着体験
・フランスベッドの「NESS」
〜腕、手、足のリハビリ
手や足にNESS(パッド)を貼り、コントロールスイッチを入れると電気刺激で筋肉が収縮。麻痺した手足も動く。
自然に足が前に出る、手が開くなど動く感覚を思い出す効果がある。
・RT.ワークス社の「ロボットアシストウォーカー」
〜歩行支援
手押し車だが、軽く押すとグイグイ進み、坂道でも楽に登れる。
速度は制限でき、傾きや転倒時には警報が鳴る。GPSも搭載。
・その他、転倒しない車椅子、歩行支援の補助具など視察。
※ロボットや器具については、神奈川県のように官民協働の取組が求められる。