7月20日、雪崩事故調査にも参加している「雪氷防災研究センター」を訪問し、上石センター長より説明聴取。
1.雪氷防災研究センター施設
①屋外積雪観測エリア
積雪観測、エリア別積雪量、重量、農業用ハウスの強度観測など
②レーダー観測システム
降雪観測レーダー、現在は降雪エリア(5kmメッシュ)の特定及び積雪量の予測が主。将来的には、雪の形状や降雪エリアの絞り込み、雪崩予想の精度を上げたい
2.雪崩対策について
①多様降水レーダーの活用
どんな雪(形状)がどれだけの量降るかが分かれば、雪崩危険度が判定できる。その為には、レーダー観測の精度を上げることが不可欠。現在は那須高原に観測レーダーがあるが、複数ヶ所での観測レーダー設置が求められる。
今後、このレーダー観測情報と傾斜角30度以上の地形図をかぶせ、雪崩予測の精度を上げる。
②土木レベルの雪崩災害対策
山梨県の雪崩災害や奥鬼怒での災害事例、幹線道路にまで雪崩が流出し車両を巻き込む惨事が発生。雪国でない関東地方は盲点になる危険がある。
砂防設備・落石防止ネットを活用し、メッシュの細かいネットを雪崩防止ネットを兼用させる事も可能。
③雪山・雪崩の知識や情報の共有
パンフレットの作成、こどもから雪山・雪崩の知識を啓蒙。危険エリアに近付かない知恵や、対処方法などを学ぶ機会をつくる。
雪山防災啓蒙センター(仮称)、栃木県は山の日発祥の地であり、3/27那須雪崩事故を受け、山岳の魅力や自然の素晴らしさ、雪山の知識・情報、山岳に親しむ上での留意点、自然への畏敬や雪崩災害事例など、広く安全で楽しい山岳ライフを発信する拠点の設置を要望したい。
④雪山登山の三種の神器
雪崩ビーコン、スコップ、ゾンデ棒の装備は、雪山の入る者の必需品。
春山安全登山講習会であっても、雪山に入る場合は、必ず三種の神器の装着は義務付けるべき。
3.着雪対策について
照明のLED化で、降雪時に溶けずに着雪する被害が発生。対策は、人海戦術によるところが大だか、事例を検証し効率的な対策を検討している。
4.雪の成立ちと性質及び共同研究について
雪への変化は、「→雪の結晶→降雪→積雪→水(溶ける)→氷(凍る)→」のサイクル。雲の水蒸気が気温の変化で凍り、雪の核となる結晶ができ、成長して雪となる。
雪の性質は、季節型と低気圧型では異なり、特に低気圧型の降雪ではサラサラ雪になり雪崩誘発の弱層を形成する。
また、雪の状態の変化によって、多様な災害を誘発する。雪が、重い→軽い、硬い→柔らかい、湿っている→乾燥など。圧雪での建築物倒壊や、雪崩などである。
現在、共同研究は山梨県、群馬県等と行っている。
5.その他
雪崩については、行政上、部局を横断する事業。情報の発信は、部局が連携して一体で対応することが求められる。