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2015年11月18日  会派県外調査⑤

11月18日、青森市森林博物館にて、青森県の林業の歴史及び森林、生活と木材について視察調査。
1.博物館の淵源
昭和53年の青森市制施行80周年記念事業の一環として、青森営林局庁舎が新築されるのを機会に、旧庁舎を転用して「森林博物館」の設置が計画された。昭和54年から展示企画等の準備に着手し、昭和57年11月にオープン。

2.青森市森林博物館の概要
この青森営林局庁舎は、明治41年11月に建設されて以来106年、多くの人に親しまれ風雪に耐えた由緒ある建物。
博物館は、旧営林局庁舎の本館部分を修復保存し、自然・森林と生活の関わりや、緑化、林業知識の普及向上、そして児童・生徒の教育活動、一般市民の教養・文化の発展の支えとなるよう展示等を工夫。
本博物館は、全国初の“森と木を考える”本格的な博物館。

3.博物館展示内容
①森と仲間たち
②木と暮らし
③雪とスキー
④青森とヒバ
⑤昔の生活と遊び
⑥森を育てる
⑦屋外展示~森林鉄道

博物館は、青森市から指定管理者制度で、県森林組合連合会に委託されているが、館長はじめ担当者が熱心で、様々な工夫を凝らしている。
来館者増加を明確な目標として、アピール性の高い企画をしている。

森林県「青森」にふさわしい取組みで、大変勉強になりました。

2015年11月17日  会派県外調査④

11月17日、青森県にて、林業振興の取組みについて調査。農林水産部林政課の担当者から説明聴取し、意見交換しました。
[調査内容]
1.青森県の林業振興に係わる取組みについて〜説明聴取
①森林・林業の施策体系
青森県基本計画未来を変える挑戦  →攻めの農林水産業推進基本方針  →青森県森林・林業基本方針〜今年度内に策定。

②森林・林業の現状
スギは、全国第4位の面積。県内の樹木は、10齢級を頂点に森林資源は充実。

③木材素材生産の現状
平成21年 53万m3  →80.3万m3に!
青森県の優位性は、バランス良く配置された豊富なしんり資源と、三方が海に囲まれ、低コストな海上輸送が可能な点。

④これまでの取組み
青森県森林整備加速化・林業再生事業(国庫100%、平成21〜27、平成27当初18.26億円)
・基金総額:108億円
・間伐実施:7.600ha
・路網整備:240km
・高性能林業機械:100台導入
・施設整備:木造公共、大型木材加工、木質バイオマス
・流通経費支援

⑤大型木材加工施設の整備
大型木材加工施設立地への取組みとして、「攻めの木材加工施設立地推進事業」を、県単でスタート。
住宅関連国内最大手のI産業グループが、新会社を設立し立地を決定。
マーケットインの考え方から需給体制を作り、県産材100%供給を実現。
・原木消費:12万m3/年(スギB材)
・製品生産:6万m3(I産業傘下の住宅会社へ全量販売)→製品にならない6万m3は、バイオマスへ。
・雇用者数:100人程度

⑥ソフト事業
・外材の集成材から、県産LVLへの切り替えを促進〜講演会、見学会開催
・県産材地産地消事業〜「青森県産材でエコな家づくり」ガイドブックの配付(無料)など

⑦青森県森林組合連合会の取組み
間伐の推進や森林所有者の所得向上にむけ、県内で生産される素材の一元化を図り、スケールメリットを活かした販売先の開拓、直送方法・海上輸送などによる流通経費削減に取組んでいる。

⑧木質バイオマス発電、及び関連施設の整備
◼️チップ工場
木質バイオマス消費:10.3万m3/年
・未利用間伐材  ・製材端材  ・果樹剪定枝
・事業費:8.3億円(補助金 3.9億円)
◼️バイオマス発電所
発電規模:6.250kw
資金調達:ふるさと融資を活用〜補助金なし
平成26年4月から原木集荷を開始、27年9月までに未利用間伐材4.5万m3、果樹剪定枝500m3を集荷。

2.意見交換
■青森県の皆伐事業は?
→民間事業者が年間約600haを皆伐、補助金はゼロ
■苗の供給体制は?
→約200haの供給 〜 造林の推進の為、苗木供給体制を強化・拡大!
■皆伐事業の経済効果は?
→詳細に把握していないが、100億円以上の貢献はしているのではないか。
■林業の担い手確保・育成は?
→高性能林業機械の導入が進んだことから、若者の林業就業が進んでいる。
・林業就業者数:国勢調査で、平成17年 1.560人が、平成22年 1.908人となっており、今年は2.500人位を見込んでいる。

林業生産者も森林組合も、加工工場も関連施設も、消費者も、全てWin Winの関係が出来てきている。

本県の林業振興、林業の6次産業化への取組みに、大変参考になりました。

2015年11月6日  会派県外調査③

11月6日、福岡県庁にて、水素社会への取り組みを調査し、九州大学水素ステーションを視察しました。
1.福岡県の取り組み
①福岡県が水素に着目した経緯
九州大学が、水素研究において世界有数であった事。
八幡製鉄所は、製鉄の工程の中で発生する水素の処分に困っていた事。
これら2つをコラボして、次世代エネルギー及び新産業創出につなごうと福岡県は取り組みを開始。

②福岡水素エネルギー戦略会議
平成16年、産学官連携事業でスタート。
戦略会議は、水素及び水素エネルギーの「研究開発」「社会実証」「人材育成」「新産業の育成・集積」「世界最先端の情報発信拠点」の5つからなる。

③FCVの普及と水素ステーションの整備
オールジャパンの戦略会議に対し、地元密着型で普及・ 整備を行うため「ふくおかFCVクラブ」を設立。
同クラブには、地元企業など262機関が参加。福岡県内で、FCVの普及の応援団になっている。
FCV車は、一台約700万円。経産省の補助200万円を当て、500万円で購入可能。PRを強化し、現在公用車等で30台。
福岡県では、タクシーにも展開し5台のFCV車が走っている。タクシーは、国交省の補助350万円に県から100万円を助成し、FCV車普及のフラッグにしている。

④水素ステーションの整備促進
現在、県内に10ステーションあるが、全て福岡市と北九州市に集中し県南には無い。
ステーションの設置コストは、5億円~7億円と高価。国は半分を負担するが、事業者負担は大きい。そこで、県も補助金を上乗せしているが、2億円弱の負担は事業採算に合うとは言えない。

⑤課題
・県南のステーション整備
・ステーションの設備投資コスト
・FCV車普及の遅れ

2.他県の動向
東京都、愛知県は、福岡県に続いて積極的で、神奈川県も財力を背景に積極推進。北海道は、風力がら水素エネルギーの変換に力を入れている。
山梨県は、山梨大学が九州大学に次いで水素研究の有名校と言うこともあり、着実な水素エネルギー開発を行っている。
海外の動向では、韓国やインドネシア、オーストラリアの諸外国が福岡県にアプローチ。

3.水素社会の未来
水素は、自然界に存在しないが、人工的に作ることが出来る。水素エネルギーは低炭素社会に欠かせないが、水素を作る過程で化石燃料を使用することが課題。
水素社会では、太陽光や地熱、風力、バイオマス・バイオガス等の再生可能エネルギーを利用して水素を作る。また、製鉄所や化学プラントから発生する水素を集め、水素ステーションに備蓄。
これらの水素を、車やボイラーのエネルギー源にし、循環型の低炭素社会を実現する。
水素エネルギー社会は、無公害で高効率なクリーンエネルギー社会。

2015年11月5日  会派県外調査②

11月5日、岡山市中央卸売市場に、市場活性化の取り組みについて調査。

[岡山市中央卸売市場の概要]
設立:昭和58年2月
規模:20ha   東京ドーム4コ分
取扱:青果8.5万トン、水産3.3万トン、花き5300万本
一日当たり、野菜239トン、果実78トン
規模的には、花きを除けば宇都宮の中央卸売市場と同規模。
扱い高は、野菜は「玉ねぎ」「キャベツ」「だいこん」、果物は「バナナ」「温州みかん」「リンゴ」、水産は「養殖ぶり」「さば」「さわら」の順となっている。

[現状と活性化への取り組み]
1.市場の現状
市場取扱高は、全国的に下降傾向にあり岡山も同様。平成3年の955億円をピークに、平成26年には556億円に。
減少要因は、集荷形態の変化と販売方法の変化。
これに伴い市場内関連棟(賃貸事業)の空き店舗が目立つようになり、30%が空いた時点で対策を検討。
2.課題解決に向けた活性化の取組
①戦略的経営展望の策定
②一般市民への解放(関連棟)
③市場大学の開催
④花き地方卸売市場への移行
以上4点の取り組みの中で、特に②の関連棟の空き店舗対策が効果大。
空き店舗に、事業者の誘致活動を開始。最初に新規参入した「ジェラート店」と「たまご焼店」が、女子の心をつかみ口コミで評判が拡大。一般客を大ウケ。HPや広報誌、商工会、マスコミ等への働きかけで、平成20年には空き店舗ゼロに。同年、一般客対象にリニューアルし空き店舗が解消。

[新規店舗の概要]
・花工房  ・肉 コロッケ  ・八百屋  ・果物屋  ・青果水産加工品  ・回転ずし  ・ジェラート  ・輸入雑貨  ・定食屋  ・カレーショップなど

[改善点]
①関連棟に直接出入りできるよう、交通誘導路の整備
②休憩所の設置
③関連棟店舗マップの作成
④施設の改修〜トイレ等
⑤入居要件の緩和〜1Fのみの賃貸可
⑥関連棟中央通りの名称(愛称)を公募→ふくふく通り
⑦中央市場のロゴマーク、キャラクターを公募→桃をベースにしたマークや着ぐるみ、グッズができた
これらの事で、関連棟がグルメゾーンに!

[イベント等]
・市場感謝デー  ・バスツアー  ・マグロ解体ショー  ・市民市場デー  など多彩なイベントを展開。マスコミは、これらの取り組みを細かく報道している。
市場を応援するマスコミの存在は大きい。

[効果]
岡山市中央卸売市場の知名度アップに伴い、市場取扱高もアップ。
何よりの効果は、関連業者自体の意識の変化だと言う。市民へのサービス重視の値段、品目、そして接客態度のブラッシュアップ。

[今後の課題と取組み]
①新しさの維持
②二つの組合の団結
③駐車場の増設〜バス専用駐車場等
④関連棟の改修・ゾーニング

→エコ市場の取組み
① 施設の屋上に太陽光発電パネル設置
②照明のLED化
③公用車に電気自動車を2台導入
④一般市民向けに「急速充電器」を設置
〜24時間利用可能で、無料!

岡山市中央卸売市場の取組みは、本県の宇都宮中央卸売市場の活性化に大変に参考になりました。

2015年11月4日  会派県外調査①

11月4日、東京都港区に支社を置く、ドイツの BayWar.e.ジャパンを訪問し調査。
[会社概要]
バウワーは、ドイツの農協が民営化された企業で、農林畜産業関連で再生可能エネルギー事業を手がける農業商社。
社員数17.000人、売上高2兆円の規模。
[事業内容]
①農業機材事業
トラクターでは、世界シェア No.1
②再生可能エネルギー事業
・太陽光発電   ・風力発電   ・バイオガス発電   ・地熱発電   ・バイオマス発電
[事業展望]
アジア市場をターゲットに、再生可能エネルギー需要の臨めるマーケットに事業展開。
バイオマス発電の場合、木材50tで1メガワット・・・3.000軒分の電力を供給。
ガス化することで、同量で2メガワット(6.000軒分)と高効率となる。
バイオマス発電は特に、原料入手から発電後の電気供給まで地産地消型が望ましい。
[事業採算]
①現在 東電では20年買取で、2メガ未満で55円/kw、2メガ以上は24円/kw。
②原料のチップは、8.000円~10.000円/t だが、価格は高騰傾向。
③プラント等の施設・設備は、希少需要のためコストダウンにならない。
以上3点から、原料コストはトン当たり1万円を超えると採算割れする。
[栃木県での事業メリット]
①豊富な森林資源
②原料の安定供給~1日当たり45トン
③事業用地取得の容易さ
プラント建設に約3.000m2
その他ストックヤードに4.000~6.000m2
[行政課題]
プラント等の設備は、海外製が性能が良いが経産省の審査が遅いため、いわゆる180日ルールに間に合わない事が問題。
経済効果を考慮し、効率の良い物で設備投資できるよう行政の配慮が求められる。
[水素エネルギー]
バイオマスから、木材を燃焼させる際に水素が抽出できる。
しかし、水素の危険性が高いところから、研究の余地が残り実用化されるには時間が必要。
[施設の課題]
バイオマスプラントは、燃焼時のタールの除去が課題。高熱で燃焼させる必要があり、一定温度を保つ温度コントロールがポイント。
[本県の取り組み]
①誘致エリアの紹介
西エリアに、6.000~10.000m2
②原料供給体制
一日45トンの供給
③チップ工場
ガラパゴスの設備投資
~償却資産税(10年間、1.4%)、法人住民税

以上、森林資源を活用するエネルギー事業は、本県林業の6次産業化構築の環境整備の一つとして推進したい。